どんな芋でも甘くなる秘密!
秋の味覚として代表的な食材である「さつまいも」。焼き芋や大学芋、スイートポテトなど、そのほっくりとした甘さは幅広い世代に親しまれています。
特に、秋から冬にかけてスーパーやコンビニで見かける焼き芋は、つい手に取りたくなる人気商品です。温かく優しい甘さは、寒い季節のごちそうとして多くの人に愛されています。
さて、皆さんは「なぜさつまいもは加熱すると甘くなるのか」を考えたことはあるでしょうか。
今回の調理理論実習では、この疑問をもとに実験を行いました。
電子レンジで急速に加熱した場合と、オーブンでじっくり加熱した場合の違いを栄養学的な視点から比較しています。
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電子レンジとオーブンで食べ比べ
- 授業では、1本のさつまいもを半分に分け、
- ・電子レンジ(1000Wで5分)
- ・オーブン(予熱なし180℃で120分)で加熱し、甘さの違いを比べました。
- 同じ芋でも仕上がりには大きな差があり、電子レンジで加熱した方はホクホク感が残りつつも甘さは控えめ。一方、オーブンでじっくり焼いた方はねっとり食感で、驚くほど甘みが強くなっていました。
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甘さの秘密は酵素の働き
- さつまいもが甘くなる理由は、「β-アミラーゼ」という酵素の働きによるものです。簡単に説明すると、さつまいものでんぷんを“甘い糖”に変換する役割を担っています。
でんぷんそのものは甘みを持ちませんが、加熱によってやわらかくなる(この現象を「糊化」といいます)ことで、酵素が働きやすくなり、「麦芽糖(マルトース)」というやさしい甘さへと変化します。この酵素は、65℃付近の温度で最も活性が高くなります。
電子レンジで加熱すると、温度が急激に上昇するため、酵素が最も働きやすい温度帯を短時間で通過し、壊れてしてしまうことで、甘さは控えめになります。一方、オーブンでじっくり加熱すると、適温帯に長く留まるため、酵素がしっかり働き、甘みが増します。
したがって、石焼き芋が特に甘く感じられるのは、時間をかけて加熱することで酵素の働きを十分に引き出しているためです。
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おうちでも再現できる!
- この実験は家庭でも再現可能です。オーブンで120分ほどじっくり加熱することで、専門店のような甘い焼き芋を作ることができます。ポイントは、さつまいもをアルミホイルで包み、時間をかけて火を通すことです。
実習後には、学生からも「家で試してみたい」といった声が多く聞かれました。秋の夜長に、自宅で焼き芋作りを楽しんでみませんか?
今回の実験を通してわかったのは、さつまいもの甘さの秘密が 「酵素の働きと加熱のスピード」 にあるということです。
さつまいもに含まれるでんぷんは、β-アミラーゼの働きによって麦芽糖へと分解されます。
そしてそのためには、酵素が最も活発になる 65℃位をゆっくりと通過する時間 が必要でした。
「電子レンジで作ると甘さが物足りないのに、オーブンや石焼き芋だと甘い!」
そんな日常の素朴な疑問も、栄養学的に説明できるとぐっと面白くなりますね。
調理法ひとつで食材の味がここまで変わるのは、まさに食の科学の魅力。
ぜひ、実際にご家庭でもオーブン焼き芋を試してみてくださいね!
本校のInstagramにも載っておりますので
ぜひご覧ください!!
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